読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自己言及器官

プログラマーワナビー

ロケットガールシリーズ/野尻抱介

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)

2014年に読んだ中で最も面白かったラノベだと断言できる(そもそもラノベあんまり読まないが)
1巻の富士見ファンタジアの最初の版が出たのは1995年でそうとう古いようだが、 アニメ化以後はいったん絶版になっていたようだ、 正直こんな面白い話が絶版になっていたとは信じられない!(2013年11月からハヤカワ文庫JAで再版された)

太陽の簒奪者が一度読み始めたら最後まで止まらず夜中に読み続けるほどの面白さだったので、 野尻抱介の他の作品も相当面白いんだなと思って期待していたがラノベでこんなに骨太かつライトな話が楽しめるとは驚きだ。

女子高生が宇宙飛行士になるという一旦荒唐無稽な話だが、 中身はハードSFかつライトノベルだ。この両方を無理なく書ききった力量はすごい。

わざとらしい展開をしているわけではないのに宇宙が舞台だからか描写がハードだからか展開にハラハラさせられ、最後には感動してしまう。 特に3巻のラストは先にガチハードSFの太陽の簒奪者を読んでいたからか、本当に主人公は生還しないのではないかと心配してしまった。 (太陽の簒奪者では普通に惑星探査の過程で死人が出ていた。常識的に考えればロケットガールは4巻が出ているので主人公が死ぬのはありえないのだが、 作中のエンジニアが生還は絶望的だと物理学的な根拠を持って示していたのでどんどん絶望感が漂ってくる)

また主人公のゆかりのリーダーシップも素晴らしい、飛行機事故では"リーダーはあたしだ"と啖呵をきってメンバーを引っ張っていくし、 そりが合わなかったフランス側のリーダー ソランジュとも、度重なる衝突や彼女がアクシデントで脚に怪我を負ったことをきっかけにしてともに月の探査へと向かう仲間意識を高めていく過程が非常に良い。 (3巻のサブタイトルは"私と月につきあって"である)

とにかく最初に書かれたのは古いがみんなに読んでほしい作品だと思う、軽く読める作品が好きな人にも勧められるし
物理の素養がある人は作中のライトノベルにそぐわぬ詳細な描写に仰天するだろう。
あんまりおもしろいのでKindle版だけに物足りず、中古で2006年ごろの富士見ファンタジア版を入手してしまった。(ハヤカワ版は表紙しかイラストが無いのが残念である、旧版のイラストは内容とよく合っていると思うのだが)

だけど宇宙飛行というやつは、気軽に中止しちゃだめなんだ。一度の宇宙飛行に何百、何千という人が関わっている。自分の知らないところに、その飛行に生涯を賭けてきた人が必ずいる。 それは帰還のあと、廊下やパーティ会場や整備工場の片隅で、はにかみながら、そっと握手を求めてくるような人たちだ。その笑顔と涙は忘れられない。
前進か退却か。宇宙飛行のシステムは、決断の重圧を飛行士にかけないよう工夫をこらしている。そうした思いやりが、かえって飛行士を苦しめる。
(私と月につきあって ロケットガール3巻 ハヤカワ文庫/JA Kindle版 ページNo.1139より)

Copyright (C) 2014 tSU-RooT. Unless otherwise noted, the text of this page is licensed under a "Creative Commons Attribution 4.0 International License"

このブログの記事は必要である範囲で他の著作物を引用していることがあります。また指摘・修正を受け付けます