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自己言及器官

プログラマーワナビー

敵は海賊・海賊版―DEHUMANIZE/神林長平

シリーズの長編第一作にもかかわらず、主要登場人物それぞれにドッペンゲンガーが存在し、
読者がキャラを把握していることを前提にしたような立ち回りがあって驚いたがそれでもすごく面白い。

物語の構造それ自体に対するメタ要素もあり、ちゃんとSFしている中にファンタジーまで混じっているのが素晴らしい。
シリーズの中でも一番の意欲作なのは間違いないと思う。ラスト付近で匋冥の哲学を如実に表わした行動をストーリーで取らせたことにより、
彼のキャラ付けを完璧にしたというのと、平行世界物でそんなことをしていいのかという驚きもあった。

「もしかすると連れてこられたのではなく、おれたちはあらたにこの世界で作られた幻なのかもしれん。完全なコピーさ。魔女だ。やつらこそがこの宇宙を支配する力だ」
「全知全能の神だというのか」
「全能ではないだろう。おれが許さん」
(Kindle版 ページNo.1489より)

あととにかくこのシリーズは黒猫型異星人であるアポロの立ち回りがかわいく、かつ恐ろしい。
特に異星人としての思考をむき出しにして行動した時の自体の引っ掻き回し方が面白く、
(一部を除いて)登場人物のほとんどがアプロを危険視しているのも当然で、まさに恐るべき異星人である。

これにA級の人工知性体で対コンピュータフリゲート艦である、ラジェンドラなども加えたキャラクター同士のかけ合いも楽しい。
レーベル自体はラノベでは無いが、ラノベ並に軽く読めるが奥深く楽しい作品を読みたいならオススメする。

<やめて下さい>ラジェンドラ。<わたしを壊すつもりですか。まったく、もう、これがわたしの上司かと思うと、 電源をショートさせて死んでしまいたい。>──ラテル、アプロ、シートは爪で裂けばいいんですよ。アホ>
(Kindle版 ページNo.867より)

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